ハワイの伝統的禅堂を訪ねて(1)
社員旅行でハワイに行ってきました。その際、事前に調べておいたハワイの坐禅堂を訪れた時に感じた興味深い点を少し書きたいと思います。
この禅堂の創立者は、日本の伝統的な禅宗の師匠から教えを受け、ハワイで坐禅を広めるために活躍された方です。この方は既に亡くなられていますが、現在はその後を継いだアメリカ人の禅教師が中心となって活動されています。
そして参禅されているメンバーも皆現地のアメリカ人で、日本人の旅行客等が来ることはまずないとの事です。そういうところへ行ってきました。
◆ 初日: 夜の坐禅会へ
3日あるうちの初日、夜でしたがタクシーで15分の道のりを禅堂へ向かいました。ホノルル近くのダイアモンドヘッド中腹にある禅堂は、夜になると周囲は真っ暗で、建物に近づいた時に線香の香りが微かに漂ってくるまでは、それがその禅堂であることはわかりませんでした。
さて、建物の近くまで来ると、タクシーの音に気が付いたメンバーの一人が出てきてくれ、私を禅堂の中に導き入れてくれました。この間、ほとんど会話はなしです。話したのは必要最低限の要件を2~3語のみ。これぞ禅!って感じです。
全く異文化の土地で、ほとんど会話も交わさず、いきなり坐禅中の禅堂の中へ。それでも、何も支障なく進行する世界です。
つまりそれほどシンプルという事。身のこなしも、思考も、全てが究極のシンプルさなので、こんなことが可能なのでしょう。
1時間程度の坐禅を終え、外に出ましたが、翌日の早朝坐禅の予定を話し合い、メンバーの夫婦にホテルまで送り届けてもらいました。
◆ 2日目: 早朝坐禅会へ
翌朝5時半頃タクシーで禅堂へ出発。6時前に到着。まだ禅堂の中には誰もいませんでしたが、一人で勝手に座りかけているところに現地の女性が現れ、次いで前日話した女性も現れ、またまたこれといった打合せも何もなく、ただ座る・・・というアクションのみで話は終わりです。
考えてみればほとんど会話がありません。そして2時間の坐禅終了後、初日と当日に渡り私を気にかけてくれていたメンバーが私に禅堂全体のガイダンスをしてくれるということで、1時間ばかり連れまわしてくれました。
禅堂での坐禅の時もそうでしたが、見せて頂いた禅堂の至る所に日本人老師の痕跡が見られ、それを忠実に守り続けている姿に感動しました。
★ 続く ★
“スフィアボール”の感動
スフィアボールと真向法
チャック・ホバーマン(ニューヨークを拠点に活動する建築家・芸術家・発明家)が生み出したスフィアボールというものがあります。そのボールは「総体多面体」と呼ばれる革新的で創造的なデザインの玩具です。
さて、なぜ私がここでその玩具の事を取り上げるのでしょうか?まずはリンクの動画を見て下さい。
この玩具、見る人が見ればあるインスピレーションを受けると思うのですが、皆さんはどうでしょうか?
この「総体多面体」と呼ばれる構造を持つ球体は、一つの結節点における働きが即座に全体の働きになっているのがおわかりでしょうか?
勘のいい方なら既におわかりかも知れませんが、私がこれをここで紹介する訳は、真向法の指導を行う際の「人体イメージトレーニング」に非常に役立つからなんです。
かく言う私も、藤田一照さんという方が『禅の教室』という著作の中でこのスフィアボールを使って「仏教の説く縁起」の解説に役立てているのを知り、真向法指導にとインスピレーションを得た次第です。
スフィアボールと坐禅
この球体、とにかく素晴らしいところは、その働きに部分的なところが無く、どのような働きも総体的な働き、言葉を変えて言えば「ワンネス(一体性)」の働きとなっているところです。
構造上、当たり前と言えば当たり前なんですが、この当たり前をビジュアル化しているところが素晴らしい。
更にこの構造を「仏教の説く縁起」に応用する事に気付く人も素晴らしい。
坐禅でもこの「ワンネス=一体性」という言葉が持つ意味は非常に重要で、それはこの自分自身や宇宙の真実の姿を表わす言葉となります。
この一見単なる玩具に見えるスフィアボールですが、それは深い深い真実を我々に見せてくれている、そんな感動を皆さんと共有したくご紹介させてもらいます。
ちなみに、先日平井サークルでスフィアボールを紹介したところ、「これは宇宙だ!」と言い出した生徒さんがいて、伝えたかったワンネスの本質をズバリ指摘されたその気付きと、スフィアボールがもたらすインスピレーションの凄さに驚きました。